膻中(だんちゅう)について

こんにちは、今回は膻中につてのお話をさせて頂きます。

膻中は前回お話した神闕と同じ任脈上にある経穴で、手厥陰心包経という
経脈の募穴であり、八会穴の中の気会(きえ)でもある大切な経穴です。

募穴の「募」は「広くつのる。招き集める」の意味で、臓腑の気が集まる
ところとされており、腹部疾患があると募穴に圧痛や硬結などの異常を認める
ようになるため、どの臓腑が病んでいるのか診断のよりどころとなり、治療点
にもなります。

 

  

八会穴とは、腑・臓・筋・髄・血・骨・脈・気のそれぞれの気が聚るところで
「熱病内に在るは、その気の会を取る」と難経(古代中国の医学書で、具体的
あるいは実用的な鍼法の臨床上の問題について書かれたもの)に書いてあります。

膻中は八会穴のひとつ気会であり、気の聚ところとされ、胸部に溜まった
気血がスムーズに流れるように作用して、胸の痞えを取り去ってくれます。

 

手厥陰心包経とは心臓の動きを司り、また保護している経絡とされています。
心臓の周りに外邪から守る膜があると考えており、その膜の働きをするものを
心包としています。心包は呼吸、体温調節、各種ホルモンの分泌など自律神経
に深く関係しています。

また心包経が守っている「心」とは、手少陰心経を指し、東洋医学では
「神(しん)」は五臓の中の心におさまっているもので、神は生命現象そのもの
であり、生体のあらゆる活動を主宰している神は脈拍や呼吸を適切に行わせる、
視る・聴くなどの知覚活動や、思考・判断などの精神活動を主宰する。

また手足の運動、顔の表情、言語表現などを正しく行わせる。神が不安定に
なると、脈拍の不整が起こり、内外の邪に傷られやすくなる。さらに悪化すると
知覚異常(幻視、幻聴や嗅覚、味覚の消失など)や、思考、判断力の異常、
運動機能の異常が起こる。神が失われれば死となるとされています。

膻中の効能としては、気管支炎、気管支喘息などの呼吸器疾患や、胸痛、乳腺炎、
母乳不足、気の海であるため、胸を開き気を整える作用や、梅核気(ヒステリー球)
と言われる咽喉部の詰まり感、しゃっくりなどに効果があります。

経穴の取り方としては、左右の脇の下を結んだ線の中点から真下に指四本分
のところで、胸骨の正中で少し陥んだところで押して痛むところに取ります。

せんねん灸なら、ピリピリ、チリチリと熱く感じるまで据えてみて下さい。

経穴の取り方やご不明の点はお気軽にお問合せ下さい。
また当院では定期的にお灸教室を開催しております。合わせてお問合せ下さい。

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