腰陽関(こしようかん)について

こんにちは、今回は腰陽関という督脈上の経穴についてのお話をさせて頂きます。

この経穴の名前の由来は、「陽」は山の南側、川の北岸を指し、「腰」は要(かな
め)、麓を表し、「関」には変わる、渡る、続く、通す、隔てる、関所などの
意味があり、骨盤と腰部の境にあり背部にある人体の要所であるところを指します。

つまり腰陽関は、腰にあって陽気が出入りするところのツボということで、
腰下肢を温め、腰痛を軽減する効果があります。女性の場合では、足腰の冷えと
ともに月経時の腰痛にも効果的です。
いずれの場合もお灸か、温灸が適しています。

  

古くは陽関と呼ばれていましたが、足陽関(足少陽胆経の経穴:膝外側、大腿
二頭筋腱と腸脛靭帯の間の陥凹部、大腿骨外側上顆の後上縁にあります)と区別
するため腰陽関と呼ばれるようになりました。

 

経穴の取り方としては、「通常伏臥位で取るが、坐して上体を前に屈し、努めて
腰椎の棘突起間を広くして取るのも取穴し易い。穴は第4・第5腰椎の棘突起間に
あり、大腸兪(膀胱)と並ぶところ。腰椎穿刺の場所。左右腸骨稜の最上部の線
(ヤコビー線)と脊椎の交わる椎間に取る」(図説深谷灸法・緑書房)より引用
させて頂きました。

 

主治としては、主に腰部から仙骨の痛み、腰部及び下腹部の冷感、下肢の神経痛、
リュウマチ、関節炎、膝痛、下肢麻痺、月経不順、頻尿、膀胱炎、前立腺炎、
遺精(いせい:精液を漏らすこと)、陰萎(いんい:インポテンツ)などに効果が
あります。

ちなみに足陽関は別名「寒府(かんぷ)」とも呼ばれ、「寒のあつまる所である
から、これに陽気を加えて陽をここより入れると、寒気を散じて下肢に陽気を
導く」とされ、足の冷えに効果的で、腰痛や膝痛にも効果があります。

「腰陽関と足陽関とは相対し、鍼をしてもひびきあう」とされています。

セルフケアとしてはせんねん灸などの温灸や、使い捨てカイロで温めても良い
でしょう。但し低温火傷にはくれぐれもご注意下さい。

当院では定期的に「お灸教室」を開催しており、次回は6月12日(日)、
午後2時からを予定しています。

ツボの取り方、お灸の据え方など、お灸によるセルフケアのお手伝いを致します。
お気軽にお問合せ下さい。

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