特定穴(要穴)について②

こんにちは、今回は特定穴の中の背兪穴と募穴についてお話させて頂きます。

背部の足太陽膀胱経上には臓腑に対応する十二穴の兪穴があり、これを「背兪穴」
と呼んでいます。ここは臓腑経脈の気が転輸する部位であり、また督脈の気が
足太陽膀胱経に通じ、さらにそれが内臓に転輸する部位でもあります。

背兪穴の分布はそれが所属する臓腑の部位に近いため、臓腑に病変があるとき
には、背部兪穴に圧痛や過敏点などの反応がたびたび現れてきます。

 

  

「募穴」とは、臓腑の経気が胸腹部に集まる部位であり、募穴の大部分は関係する
臓腑の付近に分布しているため、それらに関連する臓腑の疾病に用いられます。

このように、背兪穴と募穴は関連する臓腑の病理とも密接に関係しており、いずれ
かの臓腑に病変が発生したときには、関連経脈の背兪穴あるいは募穴に圧痛や索状
などの硬結が出現します。そのため、それらを診断の手段として使うことが
できます。実際には、募穴の反応と背兪穴の反応を相互に参考にしながら診断に
利用していきます。例えば、胃の募穴である中脘に圧痛がある場合には、胃兪にも
圧痛または硬結などが現れやすいといった具合です。

 

臨床では、特に五臓の疾病には背兪穴を取ることが多く、これは背中を陽として、
臓を陰として、背(陽)部の兪穴を取って臓(陰)の病証を治療するという考えで、
これを「陽より陰を引く法」と言います。

また募穴は六腑の疾病で治療穴とされることが多く、これは胸腹を陰、腑を陽
とし、胸腹(陰)部の募穴を取って、腑(陽)の疾病を治療するという考え方から
きており、これを「陰より陽を引く法」と言っています。

 

さらに、これらの臓腑と関係のある組織器官の病証を治療することもできます。
例えば、五官でいうと肝は目に開竅しており、腎は耳と二陰に開竅しているため、
肝兪は目の疾患を治療できますし、腎兪は耳鳴りや二陰の疾患を治療することが
できます。

 

兪募穴の応用については、一般に臓病には背兪穴が、腑病には募穴がよく取穴
され、その他、慢性病には多く背兪穴を用い、急性病には多く募穴を使い、虚証には
多く背兪穴を取り、実証には募穴を取ることが多いことなどが相違点として
あげられます。

次回は特定穴の中の、八会穴、下合穴などについてお話させて頂く予定です。

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