冷え性の治療について

こんにちは、今回は冷え性の治療についてのお話をさせて頂きます。

冷え症は、現代医学では自律神経の調整がうまくいかなくなり、血管が細くなる
ために起こるとされていますが、東洋医学では腎と脾の異常と考えます。

臓腑が健全な働きを続けるためには陽気(熱エネルギー・体温を保持する働き)
が必要です。人体には両親から受け継いだ腎の「先天のエネルギー」である腎陽と
それを維持するために、毎日食事から得る脾の「後天のエネルギー」である脾陽が
必要です。脾陽は腎陽を温めることによって、その働きを助けています。
また腎陽は脾陽を温めて脾の働きを助けるといった具合に、腎陽と脾陽はお互いに
補助し合いながら、健全な機能を営んでいます。

 

  

お腹が冷えて下痢や腹痛を起こしやすい病証が慢性化するうちに、足腰が冷えて
頻尿になったり、精力が減退したりすることがありますが、これは脾陽虚でお腹が
冷える状態が長期間続いた後、冷えが腎陽に影響して、泌尿器や生殖器の機能を
低下させると、こういった症状が現れてきます。

一方、足腰が冷えて頻尿や精力減退が慢性化すると、お腹も冷えて食欲不振や
下痢・腹痛を起こしやすくなることもあります。これは腎陽虚により脾陽を温め
られなくなったために、脾陽が冷えて運化作用を主れず、消化機能の減退を引き
起こしたために現れた症状です。このように脾陽虚と腎陽虚は相互に影響し合って、
消化機能と泌尿・生殖器機能の両方を低下させることがあり、これを「脾腎陽虚」
と呼んでいます。

 

冷え性の治療には、お灸が最適です。なかでも隔物灸として生姜灸がお勧めです。
生姜灸は5㎜程度にスライスした生姜の上に艾を乗せ、施灸するものです。
生姜灸は施灸後に痕が残りにくく、余熱が残るため、灸の温かさと気持ち良さが
持続します。

治療部位としては、冷えを感じる局所や、コリや痛みを感じる部位、また違和感を
感じる局所の周辺を軽く触って、へこんで感じる処などに生姜灸を、皮膚がピンク色に
発色するまで数回据えます。

棒灸もお勧めで、棒灸は全身の冷えや下半身全体の冷えを感じる場合など、生姜灸
よりも広い範囲を温めたいときに使用します。棒灸を行っている際に、手足や全身が
ポカポカと感じられるようになれば、効いている証拠です。

 

ご自分で治療する場合は、せんねん灸などの方が安全で据えやすいと思います。

いずれにしても、治療と並行して夏でも冷飲・冷食は極力避け、シャワー浴では
なく、首まで湯船に浸かる全身浴を心掛けましょう。

当院では定期的に「お灸教室」を開催して、お灸によるセルフケアのお手伝い
をしています。

次回は、9月11日(日)を予定しています。お気軽にお問い合わせ下さい。

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