「つわり」の鍼灸治療について

こんにちは、今回は「つわり」の鍼灸治療についてのお話をさせて頂きます。

つわりは妊娠5週前後から起こり始め、妊娠12~13週(妊娠4か月頃)
になると自然に消失する生理的な消化器症状を主とした症候で、日本産婦人科学会に
よれば、「つわり症状を有する妊婦は流産率が低いことから、妊娠初期の予後良好を
示唆する徴候のひとつである」とされています。

 

発症頻度は全妊婦の50%~80%に認められますが、そのほとんどは軽症で、
中等症が約5%、重症は0.2%以下とされています。

  

つわりは妊娠初期に起こる症状のため、妊娠に気づかない女性も多く、月経が遅れ、
体が熱っぽくなり、だるく、吐き気がして「具合が悪い」状態となり、風邪症状と
間違えやすく、内科を受診して、風邪の診断で投薬を受けたり、胃炎などを疑われ
レントゲン検査を受けたりすることもあるようです。

 

つわりが重篤化して、悪心(おしん:胃の症状のひとつで、胸が悪く吐きたいような
気持ちがするものをいいます)・嘔吐に加え、脱水症状や栄養障害、代謝障害などの
全身障害をきたすものは、妊娠悪阻(にんしんおぞ)と言い、水分が十分に取れず、脱水症状
を呈する場合は、輸液などの処置が必要となります。

つわりの症状としては、悪心、嘔吐、食欲不振、口渇、胃痛、胸やけ、胃圧迫感、下腹痛、
下痢、便秘、流涎、全身倦怠感、めまい、頭重感、頭痛、耳鳴り、不眠、腰痛、悪寒、熱感、
微熱、心悸亢進、手足の痺れ、嗅覚過敏、異味症など多岐にわたります。
またこれらは、早朝空腹時に多くみられるため、少しでも食べられる物を食べておくと楽に
なります。とは言え、水分も取れないようでしたら治療が必要です。

当院ではYNSAによる施術がメインになりますが、鍼に抵抗のある方には、温灸や隔物灸、
棒灸などによる施術も行っております。
臭いに敏感になっている方には円皮針による治療も効果的です。

セルフケアとしては、内関(ないかん)への指圧も効果が認められています。
内関は手厥陰(けついん)心包経の絡穴で、手関節全面横紋の中央から、示・中・薬指三本分
の幅、肘に向かっていったあたりで圧痛を探し、左右両方の内関に、2~3秒ゆっくりと深く
圧を加えていき、一定の深さに達したら、3~5秒押した状態を保ち、その後2~3秒かけて
徐々に圧を緩めていくことを10分程繰り返します。これを一日に4回やってみて下さい。
内関はイライラを抑える効果もありますので、気がついたら何度行ってみても良いでしょう。

つわりのケアは妊娠した女性の不快症状を軽減し、生活の質を高めることに役立ちます。
母体のストレスは、当然胎児にも影響を及ぼしますので、不快症状の軽減には副作用の少ない
鍼灸治療をお役立て下さい。

このページの先頭へ