逆子と安産のお灸・皮内鍼について

こんにちは、今回は逆子と安産のお灸・皮内鍼についてお話させて頂きます。

古来から三陰交は足の三陰経が交わるところで、婦人病には効果があるが、妊婦
には禁忌とされてきました。

石野信安先生は、産婦人科医として世界で初めて、逆子に対して三陰交の灸が有効
であることを、昭和25年に学会発表されました。
石野先生は、漢方薬と鍼灸を用いて、古くから伝わる自然な方法で、多くの不妊症や
更年期障害、月経不順などの女性の悩みを救ってこられました。

 

  

妊婦に対して三陰交のお灸をする効能として、逆子の他に下腿浮腫軽減、下腿の
だるさ軽減、分娩時間の短縮(分娩促進)、出血量の減少、和痛分娩などをあげています。
先生は「三陰交というツボは、終戦後すぐに私が、ここにお灸をすえて、胎児の逆子を
治したのがきっかけで使うようになりました。その後、ここにお灸をしていると安産に
なり、さらに生まれた子供が丈夫に育つことに気がつきました」と述べています。

大体妊娠5か月ぐらいから始めて、毎日半米粒大(お米一粒の大きさの半分ぐらいの
大きさの艾)のお灸を三陰交に3~5壮据えることを勧めています。

石野先生の時代は直接灸でしたので、灸痕が残るのに抵抗のある方は、定期的に
鍼灸治療院で治療を受けながら、ご自宅ではせんねん灸を毎日据えてもよいでしょう。
また、棒灸を10~15分程、足が温かくなるまで三陰交に行っても効果があります。
大切なのは毎日継続してお灸を据えることです。

 

鍼灸師の赤羽幸兵衛先生が考案した「皮内鍼」も「無痛分娩法」として有効です。
「皮内鍼」とは、太さが0.5㎜くらい、長さは8~9㎜くらいの極めて細いステンレス製で
一方に小さな竜頭のついた鍼で、この鍼尖を圧痛点の皮内に2~3㎜程刺入し、絆創膏で
固定して治療するものです。

「大体の予定日か、あるいは数日前に腰部の上仙点および、左右いずれか圧痛の
ある腋下点の二か所へ皮内鍼を施しておけばよい。皮内鍼を固定してから5分以内に
妊婦が軽快を感じたといえば、効果があることを意味する。分娩後の後陣痛には三陰交へ
皮内鍼を行えばよい。なお、皮内鍼は腰部も足も腋下点も共に一切が終わってから抜針
すること」(皮内鍼法・医道の日本社より抜粋しました)。

「皮内鍼」はとても効果が高く、月経痛や月経不順の方の三陰交に固定しておくだけで、
愁訴が軽減できます。その他、肩こりや腰痛・膝痛、手足の痺れなどにも効果があります。

三陰交は、足の内くるぶしの頂点から指四本(示・中・薬・小指)分上のあたりの
骨の際で圧痛を探します。
上仙点は、骨盤の骨である仙骨と第5腰椎の間で圧痛を探します。

腋下点については、赤羽先生が「腋下の下方にへ線を引き、乳首から腋へ水平線を引いた
交点に印をつける。腋下点への皮内鍼は全経絡に多大の影響があり、躯幹、上肢はもとより
下肢全体にまで影響し、そのため膝や下腿の疼痛が瞬間的に消失する場合が多い。故に
如何なる疼痛にも患側の腋下点へ皮内鍼を一本刺入すべきであると思う」と述べています。

鍼灸治療は身体への負担が少ない優しい治療法です。
副作用もほとんど無いため、妊産婦の方でも安心して治療が受けられます。

何か辛い症状でお困りでしたら、お気軽にご相談下さい。
当院ではお灸によるセルフケアのお手伝いをしています。
定期的に「お灸教室」を開催していますので、お気軽にお問合せ下さい。

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