感冒の鍼灸治療について

こんにちは、今回は感冒(かんぼう)の鍼灸治療についてのお話をさせて頂きます。

正式には「風邪症候群」といって、上気道(鼻や喉)の急性炎症の総称です。
風邪の症状は、局所的にはクシャミ、鼻汁の増加、喉の異常感などがあり、全身的な
症状としては頭痛、寒気、倦怠感や全身的な違和感などがあげられます。
いわゆる上気道の炎症として鼻、咽喉及び乾性の咳が現れるのが特徴です。

長引くと濃い鼻汁が出たり、気管支炎を続発して痰が出るようになり、乳幼児や
高齢者では肺炎に進む恐れもあります。

 

  

お灸で治療できる風邪の症状としては、頭痛、発熱、咳、鼻汁、クシャミ(アレルギー
性鼻炎)、喉の腫れ(扁桃炎、咽頭炎、喉頭炎)、風邪による倦怠感、首から肩背部に
かけての寒気などがあげられます。

昭和36年に国民皆保険となりましたが、それ以前は病院ではなく「風邪を引いたらお灸
で治す」といったことがあたりまえでした。
昭和の名灸師・深谷伊三郎先生に師事した、入江靖二先生は「風邪についての灸効は売薬
の及ぶところではないことは、臨床に携わる鍼灸師なら衆知のことと思っている」と
述べられています。

風邪を引いて処方される薬は、発熱や喉の痛み、鼻汁などの症状を緩和させるだけで、
薬によっては免疫力を弱めて、かえって風邪を長引かせることもあるようです。

特に妊娠中の方や、受験を控えているお子さん、高齢の方、体力の弱っている方など
には、副作用がなく、免疫力も高めてくれるお灸が最適です。

 

風邪の予防と治療に優れたツボは大椎(だいつい)です。
「風邪かな?」と思ったら、大椎にお灸をすえると予防になります。
風邪を引いてしまったあとでも、大椎にお灸の壮数を多くすえることで治療になります。

大椎の取り方は、頭を前にたれると首の下の方に背骨の出っ張りがポコンと出ます。
そこと、その下の骨の出っ張りに指をあて、頭を左右に動かして動く骨と動かない骨との
間に取ります。

ご自宅では、せんねん灸かドライヤーを使って、温かさがしみ通るまで続けます。
棒灸でしたら、棒灸を皮膚から3~5㎝離して、熱が通る感じがするまで10分ほど温めます。

「霊枢(れいすう:紀元200年ころの後漢時代、黄帝の著と伝えられる医書)」に
「風邪は百病の始め」とあるように、「風邪かな?」と思ったら、まず大椎にお灸をすえて
みて下さい。

当院では皆様にお灸によるセルフケアをお勧めしています。
定期的に「お灸教室」を開催し、ツボの取り方や、安全で効果的なお灸のすえかた、お灸を
すえた前後での、身体の変化などを一緒に体験して頂いております。

次回は来年の2月を予定していますが、ご家族、お友達どうしなど3,4名様でご予約頂け
れば随時開催致しますので、お気軽にお問合せ下さい。

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