五十肩の鍼灸治療について

こんにちは、今回は「五十肩」の鍼灸治療についてお話させて頂きます。

「五十肩」とは、一つの病態を指す病名ではなく、40~60歳代に多くみられる退行性
変化を基盤として、病的変化が肩関節の一部の組織に限局することなく、周囲軟部組織
(筋・腱・靭帯・関節包・滑液包など)に広汎に及んでくる幾つかの病態を総称する
臨床的な症候名とされています。

臨床的には、炎症と痛みの強い急性期、拘縮が現れる拘縮期と回復期に分けられます。
急性期:肩関節の痛みによる運動制限が最初の症状で、上肢の挙上障害、結帯障害
(腕を後ろへ回す、上着を着るときなどの動作が痛みのためにスムーズにできない)や、
結髪障害(髪の毛をとかす動作が痛みのためにスムーズにできない)などを訴えます。
症状が進行してくると、自発痛(じっとしていても痛い)・夜間痛(寝返りをうつと
痛みで目が覚める)が現れ、痛みは肩関節部にとどまらず上肢や項部にも放散します。
この時期は痛み止めの服用や、安静に過ごすことが大切になります。

  

拘縮期(発症後4~6ヶ月):肩の痛みは落ち着いてきますが、上肢の挙上、結帯・
結髪動作が制限されるようになります。

回復期(発症後半年~2年位):肩関節の可動域が回復し、完治に向かう時期ですが、
運動療法を含め治療を行わず放置して痛みが自然消退した場合、後遺症として肩関節の
可動域制限が生じることがあります。「痛みは引いたけれど、元のようにスムーズに
動かない、肩を垂直に真上に挙げることができない、腕が耳につかない」といった状態
となります。こういった後遺症を残さないためにも、急性期から拘縮期に移行する
タイミングで運動療法と鍼灸治療を併用することが大切になってきます。

 

鍼灸の治療法の一つに「経絡治療」と呼ばれるものがあります。
経絡とは経脈と絡脈の総称で、経脈とは身体を上下に直行する幹線を指しており、絡脈は
細かく網の目のように枝分かれして、身体各部に分布する支脈を指しています。

経絡は気血が流れる通路として身体の上下・内外を貫き、五臓六腑・四肢百骸(手足
と人体すべての骨格)・五官九竅(九竅:きゅうきょうとは、眼・鼻・口・耳・陰部の
九個の穴のこと)を交流させています。

経絡を用いた治療法としては、例えば肩の前面に痛みがある場合、肩前面には心経・
心包経・肺経が巡っているため、更にどの経絡が障害されているか見極め、肺経が障害
されているとしたら、肺経と同じ太陰である脾経の足のツボから圧痛・硬結のあるツボ
に鍼を刺すことで痛みが軽減します。ここで大切なのは鍼を刺したまま、肩の運動をする
ことで、気血の巡りがよくなり更に痛みの軽減が図れます。また、鍼を抜いたあと局所に
残った圧痛点に刺鍼すると速効があり直後に痛みが改善されます。

 

当院ではYNSA(Yamamoto New Scalp Acupuncture:山元式新頭針療法)での施術を
メインに行っていますので、衣服を脱ぐ必要もなく、椅子に座ったまま施術を受ける
ことができます。

治療の他に自宅施灸の方法や、五十肩に有効なストレッチや運動療法などもご指導して
おります。定期的に鍼灸治療を受けながら、ご自宅でもセルフケアを行うことで後遺症を
残さず、一日も早く辛い症状から解放されるお手伝いを致します。

当院では定期的に「お灸教室」を開催しております。
次回は、2月19日(日)の14時から当院で開催する予定です。

次回のテーマは、「冷え性」と「花粉症」を予定しております。
参加費用は、テキスト代・実技で使用するお灸・お灸のお土産を含めて、1,000円
(税込み)です。参加人数は3~4名様、駐車スペースは2台分あります。

蓬から艾を作る体験や、効果的なツボの取り方、安全なお灸の据えかた、お灸を
据える前後での身体の変化などを一緒に体験して頂いております。

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